
EU REACH規則 Annex XVII Entry 77によるホルムアルデヒド規制
2023年7月14日、欧州委員会は「ホルムアルデヒドおよびホルムアルデヒド放散物質」をREACH規則 (EC) No.1907/2006 Annex XVIIに新たな制限物質 (Entry 77) として追加しました。本規則へ対応いただく際には次のような点に注意が必要です。
- 一部の特定された除外を覗き、対象となる製品に限定はありません。全製品が対象です。
- 「含有量」ではなく「放散量」が基準値に規定されているため、試験による適合確認が必要です。
UL島津ラボラトリーではホルムアルデヒドの放散量を確認するための試験サービスを提供しております。
※ホルムアルデヒドやEU REACH規則については、こちらをご覧ください。
規制対象物、基準値、規制開始日は下記の通りです。
規制対象物 | 基準値 | 規制開始日 |
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家具および木質成形品 | 0.062 mg/m3 | 2026年8月6日 |
家具および木質成形品以外の成形品 | 0.080 mg/m3 | 2026年8月6日 |
道路輸送車両の車室内 | 0.062 mg/m3 | 2027年8月6日 |
対象となる主要製品分野
- 家具・木材成形品
- 電気電子製品
- 自動車内装品
- インテリア織物(カーテン・カーペット・ラグマットなど)
- 玩具・育児用品
- 楽器
- その他成形品
UL島津ラボラトリーのホルムアルデヒド試験サービス
EU REACH規則 Annex XVII Entry 77では、ホルムアルデヒドの「含有量」ではなく「放散量」が基準値に規定されていますので、試験による適合確認が必要です。
試験方法としては、一定の温度・湿度に設定されたチャンバーを用いた最大28日間の測定が要求されます。
UL島津ラボラトリーでは、規制・試験に詳しいエンジニアが日本語で事前相談から対応いたします。
ホルムアルデヒド放散試験の進め方

- お客様:お問合せ(対象製品をお聞かせください)

- お客様と弊社:ご相談(Webミーティング等)

- 弊社:試験プラン策定、見積書の提示

- お客様:業務のご依頼、サンプルのご提出

- 弊社:試験実施、レポート提出
さらに詳しく知りたい方へ
ホルムアルデヒドについて、さらに詳しく知りたい方は、下記もご参照ください。
- ホルムアルデヒドとは
ホルムアルデヒドは、発がん性などの毒性が知られている一方で、大変幅広い製品に使用されています。たとえば、以下の用途における含有が確認されています。
- 接着剤・塗料
- 防腐剤・消毒剤
- 繊維加工剤
- プラスチック (フェノール樹脂・ポリアセタール樹脂・メラミン樹脂・ユリア樹脂など)の製造時の化学中間体
そして、その揮発しやすい性質から、様々な製品からその毒性のあるホルムアルデヒドが放散される可能性が考えられ、日本をはじめ各国で規制が進んでおり、EUでも2023年に全製品を対象にした規制が策定されました。
- EU REACH規則とは
EU REACH規則 (EC) No 1907/2006は、EU域内における化学物質の総合的な登録(届出)・評価・認可・制限に関わる制度です。人の健康と環境の保護、並びにEU域内における化学産業の競争力の維持向上を目的としています。
成形品についてEU REACH規則で対処すべきこと
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制限
付属書 XVII (Annex XVII)にリストされる各物質の制限条件(対象用途・閾値など)に従うことが必要です。
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登録
年間1tを超えてEUで製造・輸入される場合で、且つ、その物質が意図的放出される(通常もしくは予想される使用条件下で環境中へ意図的に放出される)場合は、登録が必要です。
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届出と情報提供
EUで製造・輸入する成型品に0.1%を超えて認可対象候補物質(SVHC)が含まれている場合は、サプライチェーンへの情報提供が必要です。
また、その物質(0.1%を超えるSHVC)が年間1tを超えてEUで製造・輸入される場合で、且つ、その用途が未登録の場合は、欧州化学品庁(ECHA)へ届出が必要です。
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