
食品接触材とは
食品接触材とはFood Contact Material (FCM) と呼ばれ、食品と接触する材料や製品のことを言います。
たとえば、EU食品接触材及び製品に関する規則 (EC) No.1935/2004においては、次の3つのように定義されています。
- 食品と接触することを目的とする材料及び製品
- 既に食品と接触している材料及び製品
- 食品への接触や通常使用において、成分が食品へ移行することを合理的に予測できる材料及び製品
食品と接触する材料や製品は、人の健康を高いレベルで保護することを目的に、各国の法規制により規格基準が設けられており、下記の『食品接触材に該当する主な製品例』に挙げられる材料や製品は法規制の対象となるため、各国の要求事項に基づく試験の実施と規格基準への適合が求められます。
食品接触材に該当する主な製品例
- 食品と接触することを目的とする材料及び製品
- 食品用ラップ、錠剤包装紙
- 弁当箱、水筒
- 食器、調理器具・設備、台所用品
- 電気ポット、炊飯器、電気ミキサー、トースタ、ウォーターサーバー
- 食品加工・製造用機械
- 既に食品と接触している材料及び製品
- 食品容器、食品包装材、食品パッケージ
- PETボトル
- 缶詰の缶
- 食品への接触や通常使用において、成分が食品へ移行することを合理的に予測できる材料及び製品
- テーブル
- テーブルクロス、ナプキン
食品接触材に関する法規制への対応方法
対応すべき事項は、国・地域によって異なります。例として、EUの場合は下記の対応が求められます。
- 評価試験の実施
- 適合宣言書 (DoC) の作成
- ラベル表示
- Good Manufacturing Practice (GMP) に基づく製造
UL島津ラボラトリーの食品接触材試験サービス
UL島津ラボラトリーでは、評価試験の実施、適合宣言書 (DoC) の作成支援サービスを提供しており、評価試験については、試験プランの策定から対応しております。
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試験プランの策定からお手伝い可能です
評価試験の実施については、試験プランの策定にも対応しております。
対象となる材料や・製品、と仕向け国・地域などの情報をお知らせいただきましたら、必要となる評価試験を選定し、費用、納期、試験に必要なサンプルの量についてお見積りいたします。
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エンジニアが日本語で対応します
各国の規制と・試験に詳しいエンジニアが対応いたしますので、まずは是非ご相談ください。
顧客から食品接触材試験レポートを要求されていたり、実際に自社がどのような対応をすべきか分からない方などはまずはお問合せください。
弊社では、食品接触材試験を含む化学物質規制に精通したエンジニアが在籍しており、単純な試験結果の提出だけにとどまらず貴社の不明点や課題を解決するお手伝いが可能です。
UL島津ラボラトリーの食品接触材試験の進め方

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お客様:お問合せ (対象製品、輸出対象国をお聞かせください)

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お客様:ご相談 (Webミーティング等)

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弊社:試験プラン策定、見積書の提示

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お客様:業務のご依頼、試験サンプルのご提出

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弊社:試験実施、レポート提出

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弊社:適合宣言書 (DoC) の作成サポート
※ ご希望に応じて、別途有償対応となります。
UL島津ラボラトリーでは、評価試験の実施、適合宣言書 (DoC) の作成支援サービスを提供しており、評価試験については、試験プランの策定から対応しております。
対象となる材料や製品、仕向け国・地域などの情報をお知らせいただきましたら、必要となる評価試験を選定し、費用、納期、試験に必要なサンプルの量についてお見積りいたします。
各国の規制と試験に詳しいエンジニアが日本語で対応いたしますので、まずは是非ご相談ください。
食品接触材試験に関するFAQ
食品接触材試験に関して、よくいただくご質問と回答をいくつかご紹介します。
- 規則に適合しているプラスチック原料を使用しているが、最終製品として試験を実施しなおす必要がありますか?
はい。原則としまして、プラスチック原料として評価済であっても、上市・使用される状態で試験を実施する必要があると考えます。たとえば、EU規則(EC) No.1935/2004では、材料と成形品の両方が規制対象となっています。また、米国連邦規則集Title 21では、食品と接触する最終成形品に対しての試験が求められています。成形品としての試験実施が求められる理由は、成形条件、添加剤の使用、試験条件 (成形品としての使用条件) が試験結果に影響を及ぼすためと考えられます。
- 試験の実施は、認定試験所で実施しないといけませんか?
国・地域に応じて異なります。たとえば、中国では、認定試験所での試験レポートが求められます。一方で、EU、米国では、認定試験所での試験実施は特に求められておりません。なお、いずれの国・地域の食品接触材試験も、材質や使用条件に応じて試験項目・条件が細かく設定されていますので、認定試験所での試験実施が求められていない場合も、適正な試験項目と条件で試験を実施するために、各国・地域の規制や食品接触材試験に詳しい試験所で実施することをおすすめします。
- 適合していない製品を販売した場合、罰則がありますか?
EUでは各国法に基づき、違反者は罰金刑や懲役刑など処罰の対象となる場合があります。米国では輸入者や流通業者から商取引条件として食品接触材規制への準拠を要求されることが通例となっており、違反が判明した場合には損害賠償請求を受ける場合があります。中国でも、適合しない製品を販売した場合、適合しない製品を食品製造に使用した場合など、処罰の対象となる場合があります。また、これらの罰則だけでなく、製品の不適合や製品事故が公表されることによってブランドイメージに傷がつくリスクもあります。
さらに詳しく知りたい方へ
食品接触材について、さらに詳しく知りたい方は、下記もご参照ください。
- 食品接触材の主な海外規制
食品接触材規制 EU EU共通規則 (EC) No.1935/2004、(EU) No.10/2011 (プラスチック) など 各国法1 (ドイツ) LFGB Section 30, 31 など
(フランス) DGCCRF NI2014-108、DM/4B/COM/001、DM/4B/COM/002、DM/4B/COM/003、DM/4B/COM/004 など
(イタリア) Decreto Ministeriale del 21/03/1973 など
(オランダ) Dutch Commodities Act Regulation on Packaging and Consumer Articles など
(デンマーク) Danish Food Contact Material Order - BEK no. 681 of 25/05/2020 など米国 連邦規則集Title 212 21CFR 177 (間接食品添加物:ポリマー) など 中国 GB規格 GB 9685、GB 4806シリーズ など - EUは、EU共通規則に加えて、各国法への対応も求められます。ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、デンマークは一例であり、他国の法規則もあります。
- 米国食品医薬品局 (FDA) による規制
上記以外にも、多くの国・地域において食品接触材規制があります。上記に拘らず、食品接触材試験をご検討のお客様はお気軽にお問合せください。
- 食品接触材に関する主な評価試験の内容
食品接触材の試験は主に移行試験 (溶出試験) と材質試験 (成分分析・物性試験) に分けられます。詳しい試験内容は、国・地域および対象となる材料や製品によって異なりますが、主な評価試験として、下記のような項目があります。
移行試験 (溶出試験)
- 総移行量試験 (OML:Overall Migration Limit)
- 特定移行量試験 (SML:Specific Migration Limit) ※ 重金属類、第一級芳香族アミン、各種残留モノマー、各種添加剤など
- 色移行試験 (Color Migration/Dye Migration)
- 官能評価試験 (Sensory Evaluation)
- 揮発性有機物試験 (Volatile Organic Matter)
材質試験 (成分分析・物性試験)
- 含有分析試験 (Content Analysis) ※ ビスフェノールA (BPA)、総イソシアネート (Total Isocyanates) など
- 過酸化物残留試験 (Peroxide Residues)
- 触媒残留試験 (Catalytic Residues)
- 金属組成分析 (Composition Analysis)
- 比重測定 (Density)
- 融点測定 (Melting Point)
上記の評価試験は一例です。上記以外の評価試験もございます。
UL島津ラボラトリーでは、試験プランの策定から対応しております。対象となる材料や製品と仕向け国・地域などの情報をお知らせいただきましたら、必要となる評価試験を選定し、費用、納期、試験に必要なサンプルの量についてお見積りいたします。